スローテンポの中、スピリチュアルな独特の感性でつむぎ上げられた世界は、まさしく至福の時である。(1972年映画『PLAY MISTY FOR ME』(クリント・イーストウッド主演)に使用されたことがきっかけでヒットしたとのこと。 。) どの曲も、ロバータの個性が感じられ、粒のそろったアルバムになっている。要所でブラスセクションがソウル的なアクセントをつける。透き通っていながらも力強く、優しく心に染み入る歌声は、聴く者の心を離さない。2曲目は、ボレロ調のリズムにフラメンコ・ギターが哀愁を添えたりする。 ロバータ・フラック、69年、29歳でのデビューアルバムである。が、既に歌唱法は完成しており、その歌声は独自の世界を織り成している。が、いずれの曲も途中でロバータの歌声が翼を広げ、全てを包み込み、彼女しか作り得ない世界を表現する。 特に6曲目の「The First Time Ever I Saw Your Face」は、ポップ・チャート6週連続1位の大ヒットとなっただけのことはあり、アルバムの中でも親しみやすくも、切ない名曲である。ロバータ・フラックの歌の原点とも言える魂を、歌に対する愛
レビュー